「裸の女王様」「半額シールの天ちゃん」

「裸の王様」って、主人公を女にするだけで俺のドストライクのエロい話になるな!
って思って今日は「裸の女王様」っていうお話を書いた。
生徒会長の女子高生がクラスメイトを含む国民の前で全裸になるお話だよ。
にしてもなんで「女王様」になると急に性的な感じになるのか。「王様」はなんてことないのに。


あとさっき、スーパーで主婦に囲まれながら半額シールを貼ってるおっちゃんを見て
「半額シールの天ちゃん」っていう話を妄想した。

天ちゃんは48歳、独身。
名字が天野だから天(てん)ちゃんと呼ばれているのだ。
天ちゃんは高校卒業後からずっとこのスーパーで働いている。
気がつけばもう50歳手前だ、同期はみんな結婚している。
子どもどころか孫がいるやつだっている。
でも天ちゃんはずっと一人で半額シールを貼ってきた。
天ちゃんは、半額シールを貼るのが好きだったし、半額シールを貼っている自分が好きだった。
なぜだかわからないけど、自分がシールを貼った惣菜がお客さんのカゴに入れられると、誇りを感じるんだ。
まだ半額タイムじゃないのにサービスでシールを貼っちゃったこともあった。
天ちゃんは、毎晩仕事が終われば一人で晩酌。
寂しいけれど、半額シールを貼ることを考えると元気が出た。
俺がシール貼ったおかげであの刺身が売れたんだ、今ごろあのお客さんは家族でつついてるんだろうなあ。
そう考えると、家で一人でも全然つらくなかった。
でもある日、いつものようにシールを貼っていると、主婦に言われたんだ。
「天ちゃん、早くシール貼ってよ」
「すまねえ、まだ半額タイムじゃないんだ」
「えー、じゃあ天ちゃんいる意味ないじゃない」
その言葉が天ちゃんの心に響いた。
俺のいる意味って? 半額シールを貼るためだけ?
そのとき天ちゃんは気付いたんだ。
この主婦たちは俺のまわりに来てるんじゃない、俺の貼った半額シールに来てるだけなんだ、って。
野良猫にエサをやっていたら仲良くなったよ。
でも、エサをやらなかったら仲良くしてくれなくなったよ。
なついていた猫は、お腹をすかせていただけだったんだ。
天ちゃんは、そんな気持ちだった。
天ちゃんはそれで、仕事にやりがいを感じなくなってしまった。
僕たちは、自分で自分の価値を見いだせないと生きていけないんだ。
まがいものでもいいから、自分のいる意味があるところじゃないとやっていけないんだ。
誰でもできる仕事じゃなくて、自分にしかできない仕事って思わないとだめなんだ。


だからまあ、しょーもないことを「俺しかできねーからな、しゃーねーな」って感じで言うサークルやバイトの先輩も、傍から見てたらすごい残念やけど、そう考えたほうがいい生き方ができるんだろうなあ。
あなたもわたしもボッキー!