村上春樹っぽく休日の事を書く

村上春樹っぽく土日にやってたことを書く

 ぼくはいつもの日曜日と同じように、昼前に目覚めて身体を起こしてから、オーブン・トースターでトーストを焼き、マヨネーズで和えたツナ缶を乗せて、インスタント・コーヒーと一緒に胃に流し込んだ。ぼくは、ボーダー柄のTシャツにアクリル製の白いカーディガン――つまり、典型的な「部屋着」だ――を羽織って、ほとんど一日中、六畳のアパートに缶詰めだった。
 ぼくはずっとコンピュータの前に座り、スピーカーからボブ・ディランを流しながら、学園祭の芝居のオープニング・ムービーの編集に没頭していた。プレイ・リストが「ライク・ア・ローリング・ストーン」に差し掛かったころ、ぼくはひと通りの作業を終えて、冷蔵庫のミルク・ティーをグラスに注いで飲んだ。東の窓を開けると、春先のモルダウ川みたいに雄大大文字山の傍から、きれいな虹がかかっていた。ぼくはまるで初めて京都に来た観光客のようにそれをデジタル・カメラにおさめ、それからベランダに出て、ずっと台風のせいでずっと処理できなかった洗濯物を干した。
 それから炬燵で本を読んだ。炬燵のない冬は、「オーシャン・アヴェニュー」の入っていない「ザ・ベスト・オブ・イエローカード」みたいなものだ。やがて、ぼくのレーゾン・デートルを慰めて、日が落ちてからは近所のスーパー・マーケットで半額の刺し身を買って、麦焼酎オン・ザ・ロックで飲みながら、テレビでプロ野球の日本シリーズを見た。バッターがとんでもなくストライク・ゾーンを外れたボールに手を出すと、やれやれと首を振ってため息を付いた。見ず知らずの他人のあやまちを批判するのはたやすく、気分がいいものだ。
 ここちの良い酔いが回ってきて、すっかり夜が老けたころ――それはかつてスコット・フィッツジェラルドが「魂の暗黒」と呼んだ時間らしい――に、ぼくは見飽きたベッドに横になり、やがて浅い眠りについた。

ハルキストに怒られるわ!
「ぼくのレーゾン・デートル」はおもしろいよね、もちろんチンコのことね